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福岡高等裁判所 昭和24年(つ)18号 判決

被告人

田中喜三

外二名

主文

本件控訴は之を棄却する。

理由

弁護人原憲治の控訴の理由は末尾添附の控訴趣意書と題する書面記載の通りである。

第一点

所論のように刑事訴訟法第三百十九條第二項第三項に依れば自白の証明力が制限されて自白が公判のものであると否とを問わず之を問わず之を唯一の証拠として犯罪事実を認定することは許されないことになり、その自白には起訴された犯罪事実について有罪であることを自認する場合も含むことは明文の示す通りである。而してここにいう自白には、共犯者の自白をも含み共犯者の一人の自白を唯一の証拠として他の共犯者の犯罪事実を認定することは許されないのであるか、共犯者の自白は相互に補強証拠とはなり得るものであるから、本人の公判廷における自白と他の共犯者の自白を補強証拠として有罪の認定をするのに毫も差支ない。原裁判所が「被告人等の公判廷における夫々判示関係部分に照應する供述を綜合」して判示犯罪事実の認定をしたのはこの趣旨に外ならないので原判決には弁護人主張のような違法はない。論旨は理由がない。

以下省略

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